【5月17日の振替公演】
YAMATO String Quartet
ベートーヴェン生誕250周年記念
中・後期弦楽四重奏曲 全曲演奏会 第2回
1回券:2019年11月30日(土)発売
※第1回~第3回の19:00開演公演一般発売:7月17日(金)
「不滅の金字塔」ベートーヴェンの中・後期弦楽四重奏全曲を
日本屈指の弦楽四重奏団で聴く
公演日・開演時間 |
2020年 5月17日(日)1:30pm開演【第2回】 6月28日(日)1:30pm開演【第3回】 9月6日(日)1:30pm開演【第4回】 ※各回開演の1時間前開場。開演30分前より阪田宏彰によるプレトークがございます。 【重要なお知らせ 4/23更新】 ※すでにチケットをお買い求めで13:30開演にお越しいただける方はお手続きご不要です。 19:00開演公演チケット一般発売日: ※こちらもご一読ください |
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会場 |
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席種・料金 /残席情報 | 4公演セット券 11,000円 | |
1回券 4,000円 | ||
出演者 | YAMATO String Quartet 石田泰尚(第1ヴァイオリン) 執行恒宏(第2ヴァイオリン) 榎戸崇浩(ヴィオラ) 阪田宏彰 (チェロ) 小川和久 (チェロ:シューベルト作品のみ) |
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前売り所 |
神奈川芸術協会(045)453-5080
主要プレイガイドで発売 |
【第1回 ロシアの薫り/ラズモフスキー】
弦楽四重奏曲 第7番 ヘ長調 op.59-1「ラズモフスキー第1番」
弦楽四重奏曲 第8番 ホ短調 op.59-2「ラズモフスキー第2番」
弦楽四重奏曲 第9番 ハ長調 op.59-3 「ラズモフスキー第3番」
【第2回 中期から後期へ/ハープ&セリオーソ】
弦楽四重奏曲 第10番 変ホ長調 op.74「ハープ」
弦楽四重奏曲 第11番 ヘ短調 op.95「セリオーソ」
弦楽四重奏曲 第12番 変ホ長調 op.127
【第3回 ベートーヴェンの苦悩/大フーガ】※当初より曲順変更有
弦楽四重奏曲 第13番 変ロ長調 op.130
大フーガ 変ロ長調 op.133
弦楽四重奏曲 第15番 イ短調 op.132
【第4回 最晩年/芸術の昇華~跡を継ぐもの】
弦楽四重奏曲 第14番 嬰ハ短調 op.131
弦楽四重奏曲 第16番 ヘ長調 op.135
シューベルト作曲 弦楽五重奏曲 ハ長調 D.956
「この後で我々に何が書けるというのだ」(F.シューベルト)
オーケストラを凝縮した究極の室内楽、弦楽四重奏。2梃のヴァイオリンとヴィオラ、チェロという極めてシンプルな編成が生み出す無限の可能性に、歴代の大作曲家は惹かれていった。 このジャンルを最初に広めたのはハイドンだ。「弦楽四重奏曲の父」が残した全68曲にはモーツァルトも大いに触発され、彼もまたこの魅惑の編成による多くの作品を残した。そしてモーツァルトからバトンを引き継ぎ、挑戦、確信、苦悩、祈念、喜び…弦楽四重奏はありとあらゆる情感を、信じられないほどドラマチックに表出することができる ―交響曲と同等な程に― そのことを世に知らしめたのが、楽聖・ベートーヴェンである。
交響曲に勝るとも劣らない規模 ― ベートーヴェンの弦楽四重奏
YAMATO String Quartet(YSQ)が最初に演奏する、ベートーヴェンのパトロンのラズモフスキー侯爵に献呈された第7番は、当時の交響曲の概念を大きく覆した交響曲第3番「英雄」と同様の壮大さを誇り、それまでの弦楽四重奏史では考えられないほどの規模を実現させている。続く第8番の12分にも及ぶ感動的な緩徐楽章は、この後作曲される交響曲第4番の緩徐楽章に明らかに影響を与え、第9番冒頭の不協和音による不穏な表情も交響曲第4番冒頭を思わせる。この有名な3作品の時点でベートーヴェンは弦楽四重奏曲を、交響曲と比べてもまったく遜色ないジャンルとして扱い、まさに金字塔を打ち立てたのである。
ベートーヴェンの創作意欲がピークに達していた「傑作の森」と呼ばれる時期に作曲された第10番「ハープ」の輝かしく自信に満ち溢れた響きは、同時期に書かれたピアノ協奏曲第5番「皇帝」を彷彿とさせる。またベートーヴェンが「公で演奏されるべきでない」と語ったショッキングな第11番「セリオーソ」の短調の響きは、比肩するものがないほど強烈な印象をもたらすが、最後には妙に明るく終わるなど、どこか皮肉めいたユニークな作品に仕上がっており、ベートーヴェンの野心が存分に込められている。
「第九」の、その後 ― ベートーヴェン音楽の極み
ここからしばらく作曲時期を空けて書かれた残りの5曲は「第九」よりも後の、最晩年の作品群。この5曲は「第九のその後」が聴ける、極めて貴重な作品たちである。
第12番の重音による神々しいハーモニー(ブルックナーのよう!)や、作曲順で次に書かれた第15番における教会旋法、そして譜面に記された「神への感謝の歌」の言葉からもわかるように、「第九」で人間の苦悩、そして歓喜を描き切ったベートーヴェンは、作品中に祈りの念を込めるようになる。
しかし、それはあくまで”苦悩する人間による神への祈り”であることを忘れてはいけない。
全6楽章から成りもっとも長大な第13番のフィナーレでは、今回の公演では後に作曲されたロンドが採用され、もともとの終楽章である「大フーガ」は独立して改めて演奏されるが、 この長大にして複雑なフーガは、ともすればグロテスクにも感じられる程で、だからこそ究極の人間らしさが表出されている。それこそ、我々がベートーヴェンに対して抱くイメージそのものではなかろうか。ここで演奏されるのは、例えばJ.S.バッハによる神そのものが描いたようなフーガとはまったく別の、人間・ベートーヴェンによるフーガである。
第14番になると、他人にどう評価されるかを考えてる様子はもはや微塵も感じられず、現代音楽かと思うほど混沌とし内向的でもあるが、同時にベートーヴェンの集大成のような奥深さが表現されている。最後の作品となる第16番では一見すると古典的なスタイルに回帰しているようだが、枠に捉われない異様な和声進行が随所に取り入れられている。それはまるで人間が抱える矛盾や葛藤を改めて我々に示し、向かい合っていくべしとメッセージを残してくれたようにも感じられるのである。
跡を継ぐもの
今回最後にあえて演奏されるシューベルトの弦楽五重奏曲は、まさに「受け継がれしもの」。人間賛歌とも言うべきベートーヴェンの偉大な作品群に対し、もっとずっと個人的な、しかし誰もが抱えているであろう苦悩や葛藤を躊躇なく表現しきったこの作品は、ベートーヴェンの第14番を聴いて「この後に何が書けるのか」と嘆いたシューベルトが自ら導き出した答えと言えるだろう。
音楽に限らずありとあらゆるものが多様化し、故に迷いがちになる昨今だからこそ、ベートーヴェンの中~後期弦楽四重奏を、あえて聴きたい。日本の音楽の歴史そのものでもある神奈川県立音楽堂で、現代の音楽界を牽引する男たち4人で編成したYAMATO String Quartetが演奏するというこれ以上ない舞台が整った今回、人類史最高の傑作群が「芸術とは何か、人間とは何か」を、時代を超え、現代の私たちに力強く語りかけてくれるはずだ。
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