ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン（指揮）
藤田真央（ピアノ）
フランス放送フィルハーモニー管弦楽団

フランス音楽界におけるアーティストたちの個人能力の高さは以前より現在に至るまで世界最高レベルであることは、音楽ファンであれば誰もが知るところであろう。かつてはその個の強さゆえにオーケストラのアンサンブルが後回しにされているきらいもあったことは否めないが、それも今は昔。近年のフランス・オーケストラのアンサンブル能力の向上は、感動的ですらある。超絶な技巧を有する奏者が一体となって音楽を作るようになった現代フランスの各オーケストラは、今世界でもっとも輝いていると言っても過言ではない。

その中でも最高峰のひとつとして認知されているのが、フランス公共放送「ラジオ・フランス」が創設したフランス放送フィルハーモニー管弦楽団である。ヤープ・ヴァン・ズヴェーデンという百戦錬磨の指揮者を音楽監督に迎え、新時代を築こうとする彼らの公演が日本で聴けるのは、この上ない幸運だ。

そして今回のもうひとつの目玉が、我らが藤田真央によるラフマニノフ：ピアノ協奏曲第3番である。ルツェルン音楽祭やヴェルビエ音楽祭といった現代最高峰フェスティバルのメインコンサートでソリストを務めるなど、今や世界最高のひとりとして誰もが認めるこの日本人ピアニストが、今をときめくフランス音楽界屈指の楽団とファン垂涎の演目で登場する…贅沢としか言いようがない。

至高のアーティストたちの共演だけが実現し得る、奇跡のような音楽。この公演には、それを期待してしまうほどの価値がある。