ベルリン・フィルの7人のヴィルトゥオーゾたち

誰もが認める世界最高峰ベルリン・フィル。近年の彼らは、更にすごい。カラヤン時代からの音圧、アバド時代からの生き生きとしたアンサンブル、ラトル時代からの多様性、そして一貫して発揮されてきた超絶ヴィルトゥオージティはもちろんそのままに、キリル・ペトレンコという稀代の音楽監督に率いられる現在の彼らは、そのスーパーな能力を100％、いや120％使い、リスクを恐れずにとことんまで音楽を追求する。最高峰の名手たちが破綻寸前・ギリギリの境界線に挑戦した時にだけ実現する、究極にエモーショナルな音楽。これこそ、現代のベルリン・フィル最大の魅力である。
その最高峰オーケストラのメンバーによる、今回だけの特別プログラムが実現する。ベルリン・フィルのエッセンスを凝縮したアンサンブルを聴けるだけでも垂涎ものだが、本プログラムが聴けるのは首都圏では川崎公演だけとなれば、聴き逃す手は無い。
近年行われた樫本大進のリサイタルや他のベルリン・フィルメンバーによるアンサンブルを聴いても、自身たちの規格外の実力に胡坐をかかず果敢にリスクへと挑戦する姿勢が見て取れ、音楽史の更なる先へと進まんとする意欲、音楽界を牽引するという使命感が大いに感じられた。その気概、今回も大いに期待したい。