横山幸雄
デビュー30周年 オンライン記者会見レポート
2021年7月16日(金)13:30開演 神奈川県立音楽堂
横山幸雄 ピアノ・リサイタル《究極のショパン》
横山幸雄より ごあいさつ
30周年、これまで演奏し続けられたことについて、関係者、お客様にまずはお礼申し上げたい。30年は長い年月ではありますが、これからも演奏を続けていけるならば、ピアニストとしては折り返し地点。これまでが長かったような短かったような、様々な感覚がありますが、これからも、ますます素晴らしい音楽を、皆さまと共有できる時間を持ち続けたいと思っています。
質疑応答
◎横山さんはピアノ協奏曲を集めた演奏会など、体力と集中力を長時間要する企画をよくなさいます。体力、集中力を維持するためにふだん心がけていることは何でしょうか。
2時間のコンサートというのは、生活様式から現代社会にあったコンサートの時間であって、そこにすべてを当てはめる必要もないのではないかと思っています。実際にショパンの時代は今よりずっと長いコンサートでした。長い演奏会をやることは、実は体力を消耗することでもないのです。身体能力からすれば、スポーツ的な要素は含みますが、スポーツではないのです。時間の長さは想定しておけばそれほど難しくない。それよりも、準備の方が重要です。本番は、準備してきたことを出し切る。出し切ることができるかも試練としてためされるわけですね。長いコンサートは、よけいな緊張感はへらせるので、特に心がけていることはないのです。それに、集中力は誰にでもあり、誰にでもできること、と思いますよ。
◎自粛期間中、ネット配信を精力的になさっていました。横山さんにとってその間得られたものは何だったのでしょうか。
自粛期間は、コンサートがなくなり、サロンコンサートなどに限られた環境で行ううちに、これからの時代にはネットを通じてのコンサートがあってよいのではないかと思い、ライブ配信をやってみようかなと、始めました。とはいっても、自分自身は、生演奏あってのことと思っています。それでも、ネット配信によって、遠方の方や足を運べない都合の悪い方にとって、アーティストの今を伝えられる、お客様とのコミュニケーションをはかれる機会として重要なことではないかとも感じています。
◎未来への展望、例えば50周年に向けての展望をお聞かせてください
50周年―――、実感はそこに至らないとわからないものがありますが、デビューして最初の10年は新しいレパートリーを広げ、活動の幅を広げることを意識していました。その後は、作曲や教育の場に力を尽くして、20年たって、自分の好きなもの、やりたいことを厳選できればいいなと思っていましたが、そのころから「長い演奏会」が増えてきまして、演奏活動の可能性を広げたといえるのではないかと思っています。基本的には、ショパンとベートーヴェンが活動の柱となっていますが、フランスの作品なども織り交ぜながらと。。
50周年のころには、年齢的にも演奏家としてもいい時代にあると思うのと、やりたいことがより明確になってきているのではないかと思うし、そうあってほしいと思います。そんな僕の演奏を皆さんに楽しんでいただいていれば、なお嬉しいですね。
◎何か新しいレコーディング、あるいはソフト制作の計画はありますか?
「入魂のショパン」第10回を記念し、3日間で行ったショパンの全240作品を演奏した記録がおさめられたDVDを皆さんに聴いていただきたいという思いがあり、しばらくCDのリリースがありませんでしたが、今後は予定していますので、楽しみにお待ちください。
昨年12月に行った東京文化会館でのベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全曲演奏のライブDVDは近くリリースしたいと準備しています。
ベートーヴェンのソナタ全曲演奏会は、実はもともと行うつもりはなかったのです。ですが、世の中が劇的に変化していく中で、「ベートーヴェン」から得られるものがあるのではないかと思い、することにしました。
◎「長い演奏会」に、体力の衰えなど、消耗を感じることはありませんか?
衰えないように、毎日ワインを飲んでいます。(爆笑)
おいしいワインとおいしい食事、そして忘れてはいけない“素晴らしい音楽”で免疫力を高めていきましょう!
◎デビュー40周年に向けた壮大な夢はありますか?
皆さんと僕自身の幸せがともにあればいいなと思っています。多様性をうけいれることによって、幸せの輪が広がっていけばいいなと。演奏の技術や表現をつきつめるのは当たり前のことなので、それよりもっと広い枠で考えたいという思いです。そのためにも、辛い思いをしている方々、生きてゆくことが大変な方々にも、何らかのかたちで音楽をとどけていきたいと思っています。