バーミンガム市交響楽団（CBSO）の魅力は、輝かしくも親しみやすく開放感と自発性に溢れる音楽、そして世界最高の先見の明であろう。サー・サイモン・ラトル、アンドリス・ネルソンス、ミルガ・グラジニーテ＝ティーラ…それぞれ時代の寵児とも言える面々が比較的キャリアの初期に務めてきたのが、CBSOのシェフの座である。そして今、そのポジションに選ばれているのが山田和樹であることに胸の高鳴りを抑えられないでいるのは、筆者だけではないはずだ。

山田和樹とCBSOは2023年も横浜に登場したが、楽団の地力を存分に解放させた上で、ここぞという時には驚くほどの膂力で団員を導く山田和樹の指揮と、それに応えるバーミンガム市響によって奏でられる音楽の、なんと楽しいことか！「彼らといるとき、僕は世界一幸せ」と語る山田和樹だが、オーケストラ側も全く同じ思いであることが、彼ららしくストレートに音に乗る。まさに相思相愛、理想的なコンビである。

さらに今回は気鋭イム・ユンチャンとの共演も注目だ。若手の登竜門ヴァン・クラインバーン・コンクールで優勝を飾り、英グラモフォン賞2024「ヤング・アーティスト・オブ・ザ・イヤー」にも輝いたことで一気に世界の注目を集めるようになった彼の魅力は、尋常ならざる技術に裏付けされた、気取ることのないストレ―トな表現、そして爆発力。どの角度から見ても山田和樹×バーミンガム市響との相性が抜群に良さそうだ。お互いの音楽を思えば、この共演の実現はむしろ必然的なものなのであろう。

今回の来日で、山田和樹が手兵＆名手とどんな音楽を奏でるのか。そして、彼のこの先にどんな未来が待っているのか。それを見守れる私たちもまた、幸せである。

CBSOメンバーと共にまた日本ツアーができることをとても楽しみにしています！

CBSOは、本拠地バーミンガムでもそうですが、お客さんとの交流や化学反応を何よりも大事にするオーケストラです。それは、音楽を作り上げるのは演奏者だけでは不十分で、観客の存在があってこそ初めて成立するということをコロナ禍で改めて実感したからでもあります。横浜での公演でも、一期一会の独自の化学反応が生まれることを今から期待しています。

CBSOの今シーズンのテーマはズバリ「Joy!」です。皆さんと一緒に楽しく熱い音楽を作り上げられるように頑張ります。Let’s enjoy together!!

山田和樹

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