ベンジャミン・グローヴナー、語る!

2024年12月18日(水) 19:00  開演 ミューザ川崎シンフォニーホール

ベンジャミン・グローヴナー ピアノ・リサイタル

  

ここ数十年間に頭角を現した最も重要なピアニストの一人と謳われ、イギリスのクラシック音楽雑誌“グラモフォン”で「録音史上のトップ・ピアニスト50名」に選出された話題も新しい、英国の若き巨匠 ベンジャミン・グローヴナーさん。12月21日の公演に向けてお話しをお伺いしました。

ベンジャミン・グローヴナー
Benjamin Grosvenor Photo: Marco Borggreve

欧米での目覚ましいご活躍を耳にしています。この一年どのような活動をされていたかお聞かせください。

 とても忙しく充実した一年でした。ブゾーニの記念碑的なピアノ協奏曲(作曲家の没後100年記念)を演奏しましたが、この作品はスケールの大きさと深さの両面で記念碑的な作品であり、この作品に命を吹き込むことは、今年のハイライトの一つでした。共演は、ベルリン・フィルハーモニーホールへのデビューとなったベルリン・ドイツ交響楽団(指揮/ロビン・ティチアーティ)、アイスランド交響楽団、そしてロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(指揮/エドワード・ガードナー/BBCプロムス出演)でした。プロムスでの演奏は12回目でもあり、特別な気持ちでした。

 今シーズンは、11月に米国リサイタルツアーに加え、シアトル交響楽団とユタ交響楽団、そして、来年の4月は、NHK交響楽団(指揮/パーヴォ・ヤルヴィ)との共演でブリテンのピアノ協奏曲を演奏します。豊かな伝統を持つ真に世界的なアンサンブル、NHK交響楽団へのデビューが大変待ち遠しい気持ちです。

 そして、グラモフォン誌に認められたことは、本当に光栄です。ピアノ録音の歴史を形作ってきた伝説のピアニストたちと肩を並べるのは、責任を感じます。

日本でのリサイタルに期待が高まっています。プログラムのコンセプトと聴きどころを教えてください。

 私はリサイタルのプログラムを、特定のコンセプトやテーマに沿って組んでいます。よく考えられたプログラムは、聴き手にまとまりのある体験を提供します。テーマが、特定の

「作曲家」、「歴史的時代」または「感情の旅」に基づいているかどうかにかかわらず、ひとつの演奏会で曲が互いに共鳴し、物語を創り出すことができます。

 今回演奏する3つの作品は、それぞれ独特な音の世界を描いています。ブラームスの「3つの間奏曲」は、深い内省と叙情的な情感を伝え、ラヴェルの「夜のガスパール」は、技術的な輝きをもって、詩的な情景を生き生きと表現しています。そして、ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」は、視覚芸術を鮮やかな音楽物語へと変貌させます。

  このプログラムは、「親密な感情」と「壮大で想像力豊かな世界」の両方を呼び起こすピアノの可能性を示しています。

ベンジャミングローヴナー2
Benjamin Grosvenor Photo: Marco Borggreve

ご来場のお客さまへのメッセージをお願いします。

 日本のお客さまの温かさと気配りには、いつも深く感動しています。静かに集中して聴いてくれる様子に、クラシック音楽に対する感謝の気持ちが伝わってきます。「音楽」と「芸術」に対する深い敬意を感じ、それが私にとって毎回の演奏を特別なものにしてくれます。日本で演奏できることを、楽しみにしています。