プラハ交響楽団 日本人団員と首席指揮者へのインタビュー
団員へインタビュー!
2024年1月12日にミューザ川崎シンフォニーホールでニューイヤー・コンサートを開催するチェコの名門、プラハ交響楽団で活躍する、本田淳子さん(打楽器)と高橋紘子さん(ヴァイオリン/アシスタントコンサートマスター)にお話しを伺いました。
―どのような経緯でプラハ響に入団したのですか?
本田さん:日本で勉強したあと、チェコ音楽が好きだったので、プラハ芸術アカデミーで学びました。そのあと2007年にプラハ響に入団しました。
高橋さん:私はウィーンのサマー・アカデミーで学んだ先生に勧められ、プラハ芸術アカデミーに入学しました。プラハ国民劇場の楽団に所属したあと、2015年にプラハ響へアシスタントコンサートマスターとして入団しました。
―お二人から見た、プラハ響の特徴を教えてください。
本田さん:特徴としては、ホルンやトランペットのレベルがたいへん高いと思います。よくチェコのホルン奏者はうまいといわれますが、プラハ響もそうで、特にホルンは抜群にうまい!
―オーケストラやチェコ人にとって、ドヴォルザークやスメタナはどのような存在なのでしょうか?
本田さん・高橋さん:彼らの演奏するドヴォルザーク、スメタナには、楽譜に載っていない伝統があります。チェコで勉強した音楽家に染みついている、チェコならではの“節”のようなもので、私たちにとっても、演奏していると、チェコの風景、自然、その匂いが浮かんでくるようです。
チェコの国民性は少し日本と似ていて、控えめで堅実、内に誇りを秘めているようです。そんなチェコ人も、ドヴォルザークやスメタナが演奏されると、聴衆・奏者双方で「チェコを共有しよう」というような熱い空気が感じられます。
私たちのスメタナ、私たちのドヴォルザーク、という誇りですね。
―チェコで音楽を仕事にするお二人から、海外のオーケストラで仕事をしたい学生に向けてアドバイスをするとしたら?
本田さん:一生懸命練習することは言うまでもありませんが、まず、語学の勉強はとても大切。伝統ある場所でチームに入るのだという気持ちを忘れず、歴史を尊重し、積極的に溶け込む努力が大事だと思います。
―日本公演について、お客様に向けてメッセージをお願いします!
本田さん:すごく楽しみにしています!ツアー中は100円ショップや、ユニクロ、ラーメン屋さん、お寿司屋さん等々で、はしゃぐチェコ人を見かけるかもしれませんが(笑)、温かく見守ってください。みんな、今からとてもワクワクしています。
高橋さん:プラハ響ならではの、“チェコ節”を楽しんでください!私も今からワクワクが止まりません。
ありがとうございました!音楽の都プラハのオーケストラで大活躍されるお二人に、お話を聞かせていただきました。
マエストロへインタビュー!
2024年1月に来日する、プラハ交響楽団の首席指揮者トーマシュ・ブラウネル氏にインタビューを行いました。
ブラウネル氏はプラハ生まれ。オーボエ奏者の父と、ピアノや合唱を嗜む母のもとで育ちました。10歳のときにバーンスタインの子ども向けのテレビ番組を観て、オーケストラに入りたいという希望を抱きます。その後オーボエ奏者としてチェコ室内管で活躍したのち、指揮へ転向。ラドミル・エリシュカのもとで学び、キャリアをスタートさせました。
2020年にプラハ響首席指揮者に就任。堅実で思慮深く、温かい人柄で、団員からも厚い信頼を得ています。
―プラハ響に就任してから初めての来日ツアーですが、これまで日本には来たことがありますか?
はい、オーボエ奏者だったころ、25年前にチェコ室内管の日本ツアーに参加しました。
25年前というと、まだほんの子どもだったころですね。(笑)何もかも鮮明に覚えています。
東京芸術劇場や札幌コンサートホールKitaraで演奏しましたが、素晴らしい音響でした。
日本の皆さんが、とても丁寧に、私たちを尊重してくれたことも忘れられません。
今回の日本ツアーは、心から楽しみにしています。とても嬉しいです。
―プラハ響は2024年で創立90年。首席指揮者として3年間過ごした中で感じた、この楽団の特徴を教えてください。
プラハ響は「開花するオーケストラ」です。力を秘めており、それが本番のステージ上で一気に花開くようなエネルギーを感じます。
また観客とまるで友人同士のような親密な関係を築くことも特徴的だと思っています。
―今回のツアーではドボルザークとスメタナのプログラムが入っています。チェコ人指揮者として、この作曲家たちについてどのような気持ちで演奏をしますか?
毎年の元旦コンサートではスラブ舞曲を、建国記念日には「わが祖国」を全曲演奏しており、やはりチェコにとってたいへん特別な作曲家です。
他国で演奏するときには、チェコ音楽の真髄を伝えなければという使命を感じます。するとその意志を団員が感じ取り、それに応えて力を発揮してくれ、指揮をしながら感動するほどです。
ドヴォルザーク「新世界より」や、スメタナ「わが祖国」のモルダウは、お馴染みの名曲ですが、今回はチェコの少し違った景色を日本のお客様に見せたくて、「ボヘミアの森と草原から」(「わが祖国」より)も選曲しました。
私たちのドヴォルザーク、私たちのスメタナを是非会場で聴いていただきたいです。
2024年1月12日(金)19:00開演 ミューザ川崎シンフォニーホール
岡本侑也(チェロ)
牛田智大(ピアノ)
トマーシュ・ブラウネル(指揮)
プラハ交響楽団
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 op.104
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 op.18
スメタナ:交響詩「ボヘミアの森と草原から」(連作交響詩「わが祖国」より)
公演詳細はこちら→ プラハ交響楽団ニューイヤー・コンサート