中江早希がプログラムを紹介!
2027年4月24日(土)13:30開演 神奈川県立音楽堂
アフタヌーンコンサート2027前期 中江早希&北村朋幹 デュオ・リサイタル
オトマール・シェック:別離 Op.3-5
彩られたリボンとともに Op.19a-4
春のまなざし Op.5-3
プラハの学生の旅の歌 Op.12-2
憩いなき恋 Op.19a-5
マーラー:リュッケルト歌曲集 全5曲
シェーンベルク:4つの歌曲 Op.2
ウェーベルン:4つの歌曲 Op.12
リヒャルト・シュトラウス:4つの最後の歌
楽界が待ち望んでいた至宝ソプラノ、中江早希が超実力派ピアニスト北村朋幹を伴って、ついに音楽堂ホリデーアフタヌーンコンサートに登場!
今回の注目のプログラムを、中江自身の言葉で紹介いたします。

五人の作曲家が描く「春」
この公演のお話をいただいたときまず胸に浮かんだのは、「今の自分が本当に歌いたい歌曲を集めた特別なプログラムにしたい」という思いでした。この貴重な機会だからこそ、私自身が心から惹かれ、皆様にぜひ聴いていただきたい作品を届けたい。そこから選曲が始まりました。
最初の手がかりとなったのは、アニバーサリーイヤーを迎える作曲家です。作品や資料を調べる中で改めて向き合ったのが、2027年に没後70年を迎えるスイスの作曲家オトマール・シェックでした。数多くの歌曲を残しながら、日本ではまだ演奏される機会の少ない作曲家です。実際に楽譜を開いてみるとその音楽の豊かさと詩の言葉に寄り添う繊細さに大学生の頃の私は強く心を動かされました。「今こそこの歌曲を歌いたい。そして、多くの方に知っていただきたい」という気持ちがプログラムの最初の核になりました。
実際に演奏会が行われるのは、桜から新緑へと季節が動く4月です。そこでシェックの作品をはじめ、春や自然、旅立ち、愛、別れにまつわる歌曲を探していきました。その過程で、同じ時代を生きたマーラー、シェーンベルク、ヴェーベルン、リヒャルト・シュトラウスの作品も、次々と視野に入ってきました。
同じ「春」や自然を見つめていても、彼らが生み出す音楽はまったく違います。ある作品からは瑞々しい風を感じ、ある作品からは光や土の温度を感じ、またある作品からは、春の背後にある孤独や別れの気配を感じる。違うのはハーモニーや作曲技法だけではありません。言葉の扱い方、時間の流れ、沈黙の意味、そして音楽から立ちのぼる「香り」そのものが異なります。楽譜を読み比べるほど、それぞれの作曲家の個性が鮮やかにきらめきました。そして、色も温度も香りも異なるこれらの歌曲を一人の歌手が歌ったとき、いったいどのような春が紡ぎ出されるのだろうと、私自身が誰よりも興味をかき立てられました。
この音楽を形にするためには、北村朋幹さんのピアノがどうしても必要だと思いました。作品ごとに異なる色彩や温度を描き分けながら、プログラム全体を大きな流れとして結んでくださるのは北村さんしかいない。思い切ってお話ししたところ、快く引き受けてくださいました。さらに選曲についてもさまざまなアドバイスをいただき、私一人では思いつかなかった作品へと視野が広がり、当初の構想を超えたプログラムへと育っていきました。
五人の作曲家が、それぞれの感性で向き合った春。その異なる色と香りを、北村さんのピアノと私の歌によって一つの時間の中に紡ぎます。この演奏会で生まれる春の世界を、ぜひ会場で体感していただきたいと思っています。
中江早希